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韓国ドラマや芸能番組を見て、それを作っている人たちについて気になったことはありますか?
韓国ドラマ「プロデューサー」、「恋愛体質~30歳になれば大丈夫」、「九尾狐伝」など様々なドラマにもこのような職業が登場しています。
今回は華やかなドラマや番組の裏で一生懸命働いているPDと作家の現実についてご紹介します
PD(プロデューサー)
1. PDとは?
PDはProgram DirectorまたはProducerの略で、テレビで放送するプログラムの企画、制作、演出、放映など全てに責任がある総責任者。
視聴者が好む斬新なアイディアを番組に取り入れて企画し、予算を立て、出演者を集め、撮影現場を指揮し、制作するすべてのことをする人がPDです。
小さなことまですべての決定権がPDにあります
2. PDになるには
出典:대학내일
PDと言うとほとんどの人は番組を放送する放送局に所属した正社員だと考えるはずです。
しかし全てのPDが放送局の所属ではなく、さらに放送局の正社員PDである比率はそれほど高くありません。
放送局のPDになりたい人は多いのですが、募集自体がとても少ないためです。
放送局所属のPDになるためには、本当に高い競争率の中で競わなければなりません。
韓国の有名な放送局であるKBS、MBC、SBS、tvN、JTBCのPDの公開採用の場合、約1000対1の競争率だそうです
このように放送局PDになるための入社過程がかなり難しいため、 この過程を「言論考試」と呼んでいます。
考試とは、韓国で上位の公務員(5級)になるために受ける試験のことですが、放送局PDの公開採用に合格することが考試と同じくらい難しいためこのような名前が付きました。
では放送局PDの公開採用過程はどのように行なわれるのでしょうか?
現在MBCのホームページに載っている募集要項を例に説明します。
1つ目、自己紹介書の書類選考です。
全国でPDになりたい人が自分の全てを書類にぶつけます
学校や専攻は制限がありませんが、実際はメインの放送局で働いている人の学歴はかなり高いです。
例えば芸能PDの中で一番有名なナ・ヨンソクPDは延世大学、キム・テホPDは高麗大学、応答せよや賢い医師生活を制作したシン・ウォンホPDはソウル大学を卒業しました。
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出典:시사IN포토
2つ目は筆記試験です。一番の難関だという論述または作文試験を受けます
放送自体は映像媒体ですが、その映像をしっかり構成するには説得力のある文章が書ける能力が必要なため、このような試験を受けなければならないのです。
3つ目は面接試験です。面接は放送局によって少しスタイルが違いますが、PDになれる力量があるか評価するためにとても難しい内容となっています。
MBCの場合、2021年の公開採用では力量面接、多面深層面接、最終面接と3段階の面接を受けなければなりません
このすべての過程を通過しなければ放送局のPDにはなれないのです。
では放送局に属していない他のPDはどうでしょうか?
大体外注製作社に属していたり、フリーランサーとして仕事をしている人達です。
放送局内部の人員だけで全ての番組を制作することはできないため、放送局では外注業者に番組の制作を一部任せます。
公開採用の高い壁を乗り越えるのは難しいため、自分の夢を追うためにこのような道に進む人もいます。
この場合は一般の会社に入社する方法と同じで、その中で様々な経歴を積んでPDとしての力量を育てるのです
3. 補助PD(助演出)
公開採用に合格したり外注製作社に入社したからと言ってすぐに番組の総指揮者であるPDに慣れるわけではありません。
1つの番組の責任を負えるPDになるためには、補助PD、つまり助演出過程を最短5年、平均4年程度行わなければならないのです。
この時期は一人前のPDになるための訓練課程だと考えられます。
そのため番組に必要な小さなことまでも気にすることができるように学んでいきます。
出演依頼から人員管理、時間配分、予算管理、編集、撮影など全ての仕事に関与するのです。
助演出の業務はこのように終わりがないため、1週間に一度家に帰ることも難しいほど忙しいそうです
さらに放送現場は保守的で体形が上手くまとまっていないため、非合理的で暴力的な慣行があります。
例えば2016年10月、tvNドラマ「一人酒男女」の助演出だったイ・ハンビッPDはドラマが放送終了した翌日に自殺しました。
難しい採用試験に受かり、tvNのPDになって10ヶ月にもなっていなかったそうです
撮影をした55日中、イ・ハンビッPDが休んだ日は2日だけでした。
また早朝4時頃に家に帰って服を着替え、早朝6時に出勤することが日常だったそう。
さらには暴言や悪口行為まであったといいます。
このように助演出たちはとても厳しい業務環境にいるのです
4. メインPD
助演出として訓練課程を終えると、自分が直接番組を企画し責任を負うメインPDになります。
メインPDは助演出の時期よりも業務の内容が少し減りますが、たくさんの責任を負うことになります。
番組の規模によって異なりますが、1つの番組を制作するために必要な人員は少なくても30~40人くらいだそうです。
このすべての人と上手くコミュニケーションを取り指揮するリーダーシップが必要です。
また自分の名前をかけて番組を進行するため、視聴率の圧迫が大きいと言います
自分一人で作る番組でなく、多くの人の人生とキャリアに関わってくるため、高い視聴率が出ないといけないという負担をいつも抱えているのです。
5. 年俸
PDの年俸はもちろんピンキリです。
放送局所属PDと外注製作社PDのようなフリーランサーは仕事をした経歴が同じだとしても、3~4倍程度差が出るそうです
さらにPDはインセンティブをもらう場合が多くあります。
番組の制作費によって目標視聴率が決定され、その目標を達成したり海外に輸出されたりすると、たくさんのインセンティブが支給されるそうです
kreditjobによると2016年放送局新入社員の年俸は、平均4000万ウォン以上だそうです
大企業の大卒新入社員の年俸とほとんど同じですね。
反面、外注製作社PDはほとんど最低賃金である約2000万ウォンをもらって仕事をします。
数年前までは外注製作社で1カ月に80万ウォンという少ない給料で仕事をさせていた所も多かったと言います。
そのためみんな公開採用に合格し放送局のPDになりたいと思うのは当然のことです。
番組や作品ごと成功する「スターPD」の場合は、本当にたくさんのお金を稼いでいます。
1泊2日、新西遊記、三食ごはん、ユン食堂など様々な人気番組を製作したナ・ヨンソクPDは、2018年にインセンティブを含めてCJ enmから40億ウォンを受け取ったそうです
この金額はCJの会長や副会長の年俸よりも多いくらいのレベルだと言います。
応答せよや賢い医師生活シリーズを作った人気ドラマPDシン・ウォンホは、2018年に約27億ウォンを稼いだそうです。
本当に想像を絶する金額です
作家
1. 作家とは?
放送作家は放送局で放送される番組の台本を作成する人です。
放送作家は大きく2つに分かれます。
ドラマの脚本を書く作家と、ドラマ以外の芸能番組や教養番組の全体的な構成を考える作家がいます
放送作家は台本の作成だけでなく、番組の企画、構成にも参加する役割です。
事実上PDを補助し、番組を構成する多くのことに関与します。
2. 作家になる方法
ドラマ作家と放送作家は性格がとても異なるため、作家になる方法も全く異なります。
出典:한경닷컴
ドラマ作家の場合、メインの放送局やドラマ製作社で主催するドラマの脚本コンテストに当選し、機会を得る場合が一番多い方法です。
良い台本、良い文章を書くために何年もの間準備をしているドラマ作家志望生が多いため、狭き門であると言えます。
ドラマ製作社とドラマPDが自分の台本を評価してくれるまで、待たなければならないのです
ドラマ作家たちは誰もがフリーランサーであるため、平均年俸を計算することは難しいです。
放送作家は放送局PDのような公開採用はありません。
実は放送作家は放送局に正式に所属してはいないのです
ほとんどがフリーランサーや契約社員だと言います。
では、どのような方法で放送作家になるのでしょうか?
1つ目、放送局側の人脈を通して放送作家になる方法があります。
放送作家はメインPDの下で働くため、メインPDが自分と合う人だと判断すれば一緒に働くことができるのです
2つ目、アカデミーに通う方法です。
放送作家を養成し、放送作家としての人材を育てる放送作家アカデミーがたくさんあります。
このアカデミーを修了すると、アカデミーで番組側と連絡を取ってくれる場合が多いそうです
3つ目、求職サイトを通して放送作家になる方法です。
求職サイトに自分が仕事したいプログラムの作家募集広告が上がったら、自分の経歴と能力を記述した自己紹介書で志願します。
3. 駆け出し作家
作家のうち一番低い階級です。
作家たちがする仕事のうち、一番小さな雑用などを引き受け、先輩作家を補助します。
番組の土台になる資料調査をし、出演陣へ出演依頼の電話をし、スケジュールを調整し、編集を補助するなど、しなければならない業務がたくさんあります。
このような過程を通して番組を構成する能力を育てるのだと言います
それ以外にも番組のために資料をコピーし、軽食を準備するなどの雑用も駆け出し作家のお仕事です。
もちろん業務自体は小さなことばかりですが、業務量が多いため大変だそうです。
作家になりたい人の60%が駆け出し作家として働いている途中に夢を諦めてしまうという話もあります
上記で紹介した助演出と似ていますね。
4. サブ作家
駆け出し作家として平均3年ほど仕事をするとサブ作家になれる機会が与えられます。
サブ作家は1つの番組の中で、1つのコーナーを任せられます。
1つのコーナーを任せられるということは、駆け出し作家のように番組のサポートをするのではなく、コーナー自体を自分で作らなければならないのです
該当コーナーを責任持って構成し、台本を作成するのがサブ作家のお仕事です。
5. メイン作家
出典:오마이뉴스
10年以上作家として仕事をし、経歴を積むとメイン作家になれます。
この時には1つのコーナーだけでなく、番組全体を総括するようになります。
駆け出し作家とサブ作家がするすべての業務を確認する業務をするのです。
そしてPDと共に番組の方向性を掴んでいきます。
そのためメイン作家は1つの番組にとってPDと同じくらい重要な人物なのです
6. 作家年俸
上記で説明した通りドラマ作家の場合は平均的な収入を計算できません。
作家や作品によってピンキリだからです。
ドラマ作家は初めは脚本で放送局と契約をする時に契約金を受け取り、その後1話ごとに原稿料を受け取ります。
メイン放送局でデビューする新人作家の台本は1話当たり1000万ウォン程度だそうです
ドラマが成功すると1話ごとに2000万ウォン追加でもらえます。
また有名な作家は想像を超えるお金を稼いでいます。
韓国ドラマ「トッケビ」や「太陽の末裔」などで韓国でとても有名なドラマ作家キム・ウンスクは、「ミスターサンシャイン」を執筆した当時原稿料と契約金を合わせて1話当たり1億ウォン以上、全話で20億ウォン程のお金を受け取ったそうです
放送作家の場合は、お金を稼げる職業ではありません。
また放送作家は月給ではなく、放送1回ごとに金額が決まります。
そのため一生懸命仕事をしても、その回が放送がされなかった場合はお金をもらえないそうです
駆け出し作家たちは1回当たり平均40万ウォンを受け取ります。
1カ月で160万ウォン程です。
つまり一般的な駆け出し作家は最低賃金、またはそれ以下をもらって仕事をするのです
そして年々徐々にお給料が上がっていきます。
経歴が多く有名なメイン作家は1回150万~200万ウォン程度だと言います。
1カ月に大体600~800万ウォンを稼ぐのです!
このように作家たちは業務が多く、雇用が不安定にもかかわらず、お金もあまり稼げないため大変な職業の1つとして知られています
今回は面白い韓国ドラマや芸能番組の裏で働いているプロデューサーと作家の現実についてご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
放送では自分がしたい事をして、芸能人と共に仕事ができる華やかな仕事に一見見えますが、実際はそうでないことがよく分かりましたね
面白いコンテンツで視聴者を笑わせたり感動を与えたいという強い意志がなければ絶対にできない仕事なのです。
今度韓国番組を見る時にはPDや作家のことも考えながら見てみると面白いかもしれません
ここまで、「番組プロデューサーと作家の現実」についての記事でした。お問い合わせ事項がある場合、本ブログ記事のコメント欄にご記入いただくか、help@creatrip.com までメールもしくは、公式ライン@creatripまでメッセージを送ってください。